阿炎面白いと人気のイマドキ力士は番付を三役に定着しその上を目指せるか

阿炎 力士衆と親方

各地を回る巡業でサインを求めるひときわ大きな人だかりができている阿炎。

5月場所で横綱白鵬から挙げた金星インタビューに「お母さんに電話したいんで帰っていいですか?」と、ある意味相撲史に残りかねない迷言を残したことで一躍注目力士になりました。

部屋にいるときはTシャツにジーンズとまげがなければ普通の大きなにーちゃんにしか見えない格好をし、インスタとツイッターで情報発信を積極的に行い、明るく物怖じしないイマドキの若造ぶりは、そりゃ女子人気出るわと思います。

しかし、思うのであります。相撲取りは相撲を取ってなんぼ。人気があるのは喜ばしいけど、人気に相撲が追いついてる?

人気だけが先行するとメンタル強くなきゃやってられん客寄せパンダの相撲人生になっちゃいます。果たして阿炎は人気に見合う番付に定着できるのでしょうか。



本人は人気ぶりをどう思ってる?

本場所では大きな声援をもらい巡業に行けばサインを求めるファンに囲まれている阿炎自身は、今の状況について「ファンは大事ですからね!」とけっこう満足しているようです。

ただ、いきなり「阿炎ちゃーん♥」と来られるのはちょっと…とやや困惑気味です。

昨今の相撲人気は力士衆をアイドルのように捉える方々も多いようですが、力士衆はアイドル扱いされるために並みの人間だったらとっくに救急車に乗ってるような激しい稽古を重ねているわけではないのでね。

阿炎

激しい稽古で元結が切れちゃった阿炎。なんと多い髪でしょうか。中ぞり入れたほうがまげがキレイに収まるのにと思ってしまうけど、入れたがらないのは若い証拠かも知れん。

また、ヒールで足を踏まれるとめちゃくちゃ痛いと苦笑いしていたようです。人垣ができちゃう人気力士ならではの悩みですかね。

千原ジュニアがサンダルばきで駅を歩いていてパンプスの女性に足を踏まれて骨折したことがあります。お相撲さんとて裸足を踏まれりゃ骨が折れかねません。贔屓のお相撲さんの足を踏んでしまってケガさせたりしないように気をつけたいものです。



阿炎のいいとこ悪いとこ

師匠の錣山さんが「磨けば光るとこばかり」とその素質を絶賛する阿炎は、2017年名古屋場所に関取復帰しました。

再十両の場所で8勝、翌場所では10勝で十両優勝、そして十両5枚目まで番付を上げた2017年九州場所で11勝を挙げて3場所で十両を通過しています。新入幕の場所で10勝を挙げて敢闘賞を受賞し、前頭7枚目で迎えた翌場所も好調で10勝と、都合4場所連続で2桁勝ち星を挙げてみせました。

しかし、今年5月・7月と相次いで金星を挙げたものの負け越し。続く九州場所も6勝しか挙げられず、3場所連続で負け越しを喫しています。

阿炎の強み

阿炎は力士にしてはすらっとした体型に似合わず突き押し相撲です。立ち合い一発のもろ手突きに威力があり、なめてかかると横綱であっても一気に体勢を崩されてしまいます。

相撲勘もよく、これはもっぱら土俵際の回りこみと引きのタイミングで発揮されます。突き押し相撲は突いて押して引くのが定型ですから、乗ってるときの阿炎はまげも乱さず勝つこともあります。

治療に時間を要するような大きなケガがないことも強みです。

今の阿炎の弱み

調子の波に乗れば2桁勝てて金星まで挙げられる力がある阿炎ですが、だからと言って安心して見ていられるわけではなく、むしろ首を傾げたくなることが多くあります。

阿炎は上半身の強さには定評があります。対戦相手があの細い腕から繰り出される突きをこらえきれないわけですから、はまれば爆発的な威力があるのだと思います。

しかし、その上半身の強さだけに頼った相撲を取っているように見えます。突きの回転も遅いし足が出ていない。これがもったいない。時々もろ手て突いたあと両足がほぼ揃ったバンザイ状態になって「引いてくれ」と言わんばかりの体勢になってしまっています。

一番なんとかして欲しいとじれったく思うのが、突くのはいいけどつま先立ちなこと。きちんと足の裏を土俵につけて突いて押せばもっと威力が増すと思うのですがね。

これについて師匠の錣山さんは「阿炎は何回言っても言うことを聞かない。言っても言っても場所が始まると忘れる」と嘆いていました。

まあ、つま先立ちでも今のところなんとかなってるから直す気がないのかも知れませんが、つま先立ちで長い腕を振り回している様子は、勝昭氏が評したところの「タラバガニ」よりもご飯をもらっている水族館のタカアシガニにそっくりです。

最近は以前ほど飛び跳ねなくなりましたが、阿炎は後ろに跳びながら引くという自ら負けを誘うような相撲を取ることがあるのもよく分らない…。

体勢が悪くなると焦って無駄にじたばたしてしまうのも欠点です。

阿炎―栃ノ心

秋場所14日目、カド番脱出に2日ほど足踏みしていて悲壮感を漂わせていた栃ノ心戦です。阿炎はもろ手突きの弱点である脇ががら空きを突かれて両廻しを取られてしまい、体を寄せられそうになって思わず自分から飛び上ってしまうという意味不明なことをしてました。

わたくし、テレビで見ていて思わず「飛ぶな!!」と大声が出た(苦笑)

この後阿炎は見るも無残に土俵に叩きつけられ、栃ノ心はめでたくカド番を脱出することができました。しかし、栃ノ心がこの阿炎をうまくさばけず星を落とすようだったら、こりゃ陥落止むなしだわと思ったものです。



三役定着そしてその上を目指すには

正直なところ、今の阿炎のセオリー無視したばたばた相撲で三役定着そして大関なんてのは勘弁していただきたいと思います。上に上ったら上ったなりの相撲ってもんがある。

今の阿炎を見ていて感じることは、勝ちたい気持より負けなきゃいいという考えがあるんじゃないかな、ということです。

勝ちたい気持が強すぎても空回りになりがちではありますが、阿炎からは同世代の中では頭ひとつふたつ抜き出た存在になりたい!という強い気概が感じられません。今の阿炎には大きなケガしたらあっさり相撲辞めてしまいそうな雰囲気があります

9月場所は中盤まではなかなか好調に白星を重ねてましたが、10日目につまづいてから結局千秋楽まで黒星続き。結局6勝ち9敗の負け越しで場所を終えました。

これがねぇ…負け始めてからは勝ち越すことを諦めたような相撲だった(苦笑)。途中で場所を投げちゃだめよ。体調悪かったというなら別だけど。

師匠の錣山さんは「阿炎は組んだら相撲になりません」と言ってました。確かに突き押し一辺倒の相撲は捕まえられたらなすすべなしになりやすいです。

玉鷲みたいに基本は突き押し、下手を差されたら恐怖の小手投げがある(小手投げを乱発するのは褒められない相撲ではある) みたいな相撲スタイルを身につけられたらいいんだけど、今のところそういう努力をしてるようには見えません。いかにして捕まらないように逃げ通し、突きとのど輪で相手を嫌がらせてタイミングよく引くか、という風に見えます。

そういう相撲スタイルもありかも知れない。でも、惜しい!もっといろんなことが出来そうなのに!

引く相撲がみんな卑怯だとは決して思いませんが、引かなきゃ勝てない引退がちらつくベテラン力士とはわけが違います。

ケガなく負けないように相撲とってそこそこ人気があれば良し。みたいな相撲観がありそうで怖いわ。そういうことはあと10年相撲とってから考えてくれ。

ここまで書いてみて、私は阿炎に対してずいぶんと辛口だよなと改めて思います。

ただ、それだけ阿炎は目に付くのです。直し代はいっぱいありますが明るく華があります。だからこそたとえ国会中継で相撲の中継が5時からになっても土俵下に控えている姿を見られる番付でいて欲しいのです。

阿炎は現在24歳。同世代ではいまのところ大関獲りに挑戦した御嶽海が先頭走ってる感があります。

次に誰がめきめき上って来たら阿炎は負けん気を出すのでしょう。3年後阿炎の阿炎の番付はどのあたりにあるのか、楽しみです。



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