北勝富士こころ優しき新小結はなぜ今まで三役に上れなかったのだろう

北勝富士 力士衆と親方

もうすぐ弥生三月。力士衆も大阪入りしてじきに平成最後の場所である三月場所が始まります。

三人の新入幕やみんな大好き豊ノ島の幕内復帰など話題が豊富ななか、八角部屋の北勝富士がめでたく新小結に昇進しました。北勝富士といえばファンからもらった差し入れなどを残らずTwitterで紹介する丁寧さと優しいファン対応で好感度高いですよね。

立派な人気力士の一人ですが今回の小結昇進は「え?新三役だったの?!」という印象があります。相撲ぶりが消極的なわけでもない、むしろ闘志のかたまりみたいな相撲でばりばり上位を撃破してるのに、なぜ今まで上れなかったのでしょう。



スピード出世だけど目立たない?

北勝富士 大輝 (本名 中村 大輝)埼玉県所沢市出身

1992年7月15日 26歳 身長184cm 体重164kg 八角部屋

平成4年生れのいわゆる『花のヨン組』の一人。埼玉栄高~日大相撲部を経ての入門です。大学3年次にに幕下付出し資格となるタイトルを獲得しましたが中退せずに学業を優先。

大学在学中の個人タイトルは13を数えたものの4年次に付出し資格を得られる3大タイトルを取れなかったため、2015年3月場所で前相撲からのスタートとなりました。同期入門に御嶽海・宇良がいます。

実力がありながらタイミングが悪くて前相撲からなので、序の口序二段三段目を3場所で通過し(この間1敗しかしてない)十両も2場所で突破して入門の翌年九州場所で新入幕というスピード出世です。初めて負け越したのは入幕3場所目でした。

えっ?26歳?…中剃り…?

北勝富士が中剃りを入れてるかどうかは、ハリーポッターの「口にしてはならないあの名前」と同じ扱いです。…お察しください。

目立たなくていいです

あれは確か新入幕インタビューだったと思いますが、同期入門でライバルの御嶽海について振られて「いや…自分はああいう華やかな力士ではないので…」とコメントしていました。

同い年で同期の御嶽海は、前相撲からと幕下10枚目格付出しのスタート時点の違いはありますが北勝富士が新入幕の時には新小結でしたから、なるほど『華やか』ではあるかもしれません。にこやかに語ってはいましたが内心は「今に見てろよ」だったろうと思います。

2015年春場所は北勝富士含めて3人の注目力士が入門してきたわけですが、もう一人の同期である宇良は派手な相撲で注目されるなか、北勝富士自身は地味でいいから長年の相撲ファンに相撲ぶりを認められたいと非常に謙虚なコメントをしていました。

すばらしい。力士は相撲で評価されてなんぼですよ。

さりとて目立たないわけではない

地味でいいですという北勝富士ですが目立たないわけではありません。2019年初場所終了時点で金星獲得数5個を誇ります。

うち2個はついぞ調子を戻せなかった稀勢の里からではありますが、白鵬以降の4横綱全員からの金星、それもうっかり横綱が足を滑らせてすっ転んだ棚ぼたではない堂々の金星です。

インタビュールームに来ている姿をよく見る印象があるので、わたしの中で北勝富士はかなり強い力士の一人、という認識です。



新小結そして三役定着するには?

かなり強いはずの北勝富士が春場所で新小結というのはすんごい意外でした。

調べてみると、2017年九州場所で前頭西3枚目で11勝してるのに三役入りならずということがあります。(この時点での最高位は2場所前の東前頭2枚目)

この場所は三役から落っこちたのが3人目の関脇の元大関照ノ富士(全休)と西の関脇嘉風(6-9)、東の小結の元大関琴奨菊(6-9)の3人でした。

北勝富士より上の番付がごそっと崩れていれば三役入りだったろうと思うのですが、東西筆頭の玉鷲と貴景勝がともに11勝していたため、翌2018年初場所の北勝富士の番付は三役入りならずの東前頭筆頭どまり。で、迎えた2018年初場所は金星を挙げながら4-11と盛大に負け越してしまいました。

昨年の九州場所でも西の筆頭まで番付を上げながら1点負け越しで後退と、あと少しで三役入りがかなうところまでいきながら星を落としてしまいがちなようです。

闘志が空回り?

北勝富士

笑うといっそう目がなくなる北勝富士はとても礼儀正しくて丁寧なファンサービスをする穏やかな青年です。浅香山親方に似てるという声がありますが、浅香山さんの若い頃はなかなかのイケメンだったので(以下略)

しかし土俵に上ると穏やかどころか鬼の形相で闘志をたぎらせます。頭のてっぺんから湯気が出そうです。

北勝富士

ずっと見ていると、北勝富士は終盤近くなると勝ち気が先に立ちすぎて空回り気味になることがあるように思います。

北勝富士は押し相撲ですからとにかく前に出ることが身上なのですが、気持だけ先に行って足が付いていかなかったり、低く突っ込みすぎて引かれてばったり前に落ちたりと、みすみす星を落として連敗した場所がいくつかありました。

ケガの影響などもあるでしょうが、勝ち越しがかかるとかこれ以上星を落とせないときに空回ってるなあと感じるのが惜しい。

見てませんよね?

押し相撲の北勝富士の相撲は時として非常に激しいものになります。空回りし出すといっそう激しさを増します。がむしゃらに出て行く様子はまるで手のつけられない暴れ牛のようです。

が、よく見ていると、時々完全に目をつむっていることがあるようです。目ぇ細いだけで開いてる可能性もありますが、まぶたに力が入ってるのが分るのでつむってるだろうなと。目ぇつむってるなと思うときにいなしに対応できずに落ちやすく感じます。

2018年夏場所、北勝富士は10日目の竜電戦でもともと傷めていた首をさらに傷めてしまって途中休場を余儀なくされました。

次またやったらもう相撲がとれなくなるのではないか?という恐怖心から思い切った相撲が取れなくなったこともあったようです。痛みとケガの悪化に対する恐怖心、力士にとっては避けて通れない強敵です。

御嶽海に追いついた!

新十両場所のインタビューで、北勝富士は「御嶽海を越すのが目標」とライバル意識を表に出しました。3月場所でついに両者小結で番付を並べます。

対戦成績は北勝富士の2勝5敗1不戦勝と、やや御嶽海の方が勝ち越しています。なんせ御嶽海は貴景勝にさんざん張られまくった一番でも冷静に相撲取ってましたし(むしろ相手が荒れれば荒れるほど落ち着き払っている)、ここ一番の相撲は絶対落とさない自信を持っています。

同期入門なんてのはお互い負けたくない同士の両思いですから、それ相当に白熱した一番になるでしょう。

体格では北勝富士の方が勝っています。北勝富士のとにかく前に出る相撲に「よく見て」が加算されると相撲巧者の御嶽海も苦戦しそうです。

見所の多い平成最後の春場所、新小結・北勝富士が一皮むけた相撲を見せるのか興味は尽きませんね。



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