新横綱稀勢の里に続いて大関高安(本当ははしごの髙)の誕生で角界は大いにわいておりますが、二人を育てたといっても過言ではないのが元若の里の西岩親方。
結婚13年目にしてはじめてのベビーが誕生しました。穏やかで分かりやすい解説が高評価ですが、優しそうな笑顔とは裏腹に素顔は超怖い?
2015年7月場所限りで現役を引退して年寄西岩を襲名し、西岩部屋の師匠として奮闘していますが、独立にあたってこれが出来たら最高なんだが…という叶わぬ夢がありました。
※これは旧サイトからの転載加筆記事です。
人格者と評判だけど怖い?
西岩親方 元関脇若の里(鳴戸部屋~田子ノ浦部屋) 本名:古川忍
相撲王国青森から中学の卒業式を待たずに上京し、角界一の猛稽古で知られた鳴戸部屋に入門したたたき上げ。度重なるケガと手術で、現役晩年は階段もまともに下りられない身体になりながらも、39歳まで、実に23年半も土俵に上った努力と根性の人です。

慈愛の若の里
長い土俵生活の中では多くの後輩力士が付け人につきましたが、誰もが叱られたことがないと言います。
田子ノ浦部屋は弟子の数が少ないので同門の部屋から付け人を借りなくてはならんのですが、一門の高田川部屋から借りていた輝大士関は「若関(若の里)の付け人でいられたことは一生の財産」とまで言うほど西岩親方を尊敬しています。
また西岩親方も輝を可愛がり、引退しても傍に置きたいくらいだと言ってました。
輝が十両に昇進したとき、若の里は逆に十両落ちしていたために対戦が組まれました。西岩親方は「正直当たりたくなかった」と述懐しています。
若の里と輝のほっこりしてほろりと涙する話は西岩親方の自伝の中でも語られています。特に、引退が決まってからの巡業先での話は必読!関取と付け人はこういう関係であるべき!の見本のようなエピソードです。
西岩親方は顔はお世辞にもイケメンとは言えませんが、心がすんごく男前なのです。
鬼の若の里
人となりは心優しきお相撲さんそのものの西岩親方ですが、実は超怖い一面もあります。
若い頃の稀勢の里を付け人につけていたこともある西岩親方は稀勢の里の初優勝のときによくコメントを求められていました。もっぱら「厳しい稽古によくついてきた。他の弟子衆とは違っていた」というソフトなコメントでした。
が、稀勢の里の初優勝直後のインタビューで語ったことは「新弟子の頃からそりゃあ厳しく稽古をつけました。それこそ、血だらけ泥だらけで引きずり回すこともあった」。
稀勢の里が入門してきたとき、10歳年上の若の里は親方から「萩原(稀勢の里)を強くしてやってくれ」と預けられたそうです。
若の里は猛稽古のThe鳴戸イズムで育った力士ですから、自分が兄弟子にしごいてもらったことを踏襲して稀勢の里に地力をつけさせました。稽古場の若の里は鬼だった模様です。
ただ、その後の西岩親方は稀勢の里のことを尋ねられても「血だらけ泥だらけで引きずり回した」というところは絶対口にせず、「今だったら考えられないですが」と前置きしてから稽古が厳しかったと、気を使いながら言うようになりました。
これは多分、稽古の厳しさを悪い意味の「かわいがり」と取られると困るという配慮だろうと思います。
暴力か愛あるしごきか
2018年の冬巡業で貴ノ岩が付け人に暴力をふるって引退したことで、相撲協会は関取衆を集めて改めて暴力根絶講習会を開きました。
その中で『過度な稽古』も暴力に含まれることが発表されましたが、それに従うと西岩さんが言う「血だらけ泥だらけで引きずり回す」は暴力認定になってしまうのかも知れません。
しかし、稀勢の里はそんな稽古を恨むどころか、師匠よりもずっと西岩さんを慕っていました。そうやって強くなった。
この先、しごかれた本人は全然暴力だとか思ってないのに周りが騒ぎ立てて暴力認定になってしまって処分されちゃった なんてケースが出てこなければいいんだけれどと少し心配になります。
西岩親方のプライベートは?
西岩親方の結婚は2004年、気力体力充実して長く三役を務めていた頃です。奥さまは彩さんという方で、ケガが絶えない若の里を支えてきました。

現役時代は子どもに恵まれませんでしたが、今年2月に待望の第一子が誕生しました。女の子です。
西岩親方の娘ちゃん、花ちゃんといいます。夏巡業では弟弟子の稀勢の里に抱かれて土俵入をしてました。

親方に判子で押したほどそっくり。これはさぞかし可愛かろう。
現役を退いて少しスリムになりましたが、相変わらず大きな身体を丸めて(顔が大きいから目立ちませんが185センチあります)愛娘の世話をしてるかと思うとほほえましいです。
独立を目指す中で叶わぬ夢とは
西岩親方は引退後しばらく所属していた田子ノ浦部屋で後輩力士の指導にあたっていました。現在は独立して西岩部屋の師匠です。
ただ、独立にあたって本当はこうしたいんだけど無理だよなぁ…ということがありました。
それは、稀勢の里を連れて独立すること。しかし、相撲界では一度入門したら部屋を変わる事はできません。西岩親方が独立してしまえば別の部屋の親方になります。
実は、現在稀勢の里らを擁している田子ノ浦親方は先代の鳴戸親方に比べて指導力の点で残念ながらかなり劣ります。
まあこれは、先代の急逝に伴って部屋を継承する際に、いろいろあって止む無く部屋持ち親方になったいきさつがあるので仕方がない部分もあるのですが、稀勢の里は田子ノ浦親方の指導の甘さに対してかなり不満を持っているようなのです。
こういう稀勢の里の気持ちを汲んで、西岩親方は稀勢の里を自宅に招いてご馳走してやり、愚痴に耳を傾けることもあるそうです。
西岩親方としては厳しい鳴戸イズムで育ててきたこともあり、出来れば手元において自分の手で指導したい思いがあったようのですが、そのためには田子ノ浦親方から部屋をまるごと譲ってもらう以外にありません。
長い土俵生活を終えてベテラン力士から新米親方になった西岩親方。子育てしながら女将さん仕事に励む奥さんのブログは、弟子衆を見守る愛情に溢れていて時々泣きそうになります。
部屋の運営は傍目に見るより大変でしょうが、強くて華のある力士を育てて欲しいですね。
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