蒼国来解雇処分を超えて復帰した奇跡の力士は3月場所で引退か

蒼国来 不祥事・ごたごた

中国出身と紹介されるけど実質モンゴル人で、なんでそうなるのかの説明をするためにやや政治的な話が必要な力士、蒼国来。実物は写真でみるより数倍男前だそーです。 昨年9月に日本国籍を取得したことで所属する荒汐部屋を継承するのではないかと見られています。

いつも穏やかな笑顔をたたえていますが、その土俵人生の途中では「相撲を嫌いにならないでくれてありがとう!!」と言いたいような大変な経験をしています。

八百長疑惑で引退勧告の苦難

2011年2月、前年に発覚した大相撲野球賭博事件を調査する中で八百長問題が芋づる式に明るみに出ました。

八百長の噂は昔から存在していましたが、さすがにこの時は八百長の存在を裏付ける明らかな証拠つきの発覚でしたし、立て続けの不祥事に「なんなんだよ!」と大相撲ファンは心底がっかりしたものです。

蒼国来にかかった八百長疑惑

この八百長疑惑問題では、力士20人以上に引退勧告が出されました。期日までに引退届を提出しないと解雇処分とするという非常に厳しいもので、この中に蒼国来も混ざっていました。

この時処分を受け入れて引退していった力士の中には本当は八百長なんかしてなかった人もいたようですが、面倒ごとが長引くのを嫌った当時の協会は疑わしきは丸ごと一掃という強硬な手段に出たわけです。

蒼国来は八百長の首謀者だった力士との取組があったことなどで公平な調べを行いもせずに一方的に「はい、八百長認定ね」と処分対象にされてしまいました。

闘う蒼国来

話もろくに聞いてもらえずに引退届を出すよう促された蒼国来は「やってないものはやってない!」と引退届を出さなかったために解雇という重い処分が下されてしまいます。

これを不当として地位の保全を求めて協会を相手取って仮処分の申請を行い、ひとまずは1年間は解雇前の番付の幕内力士1年分の給料の支払いを行うことで和解しました。

しかしそれはあくまで仮処分なので、蒼国来は地位の確定と給料の支払いを求める訴訟を起こします。長い長い闘いが始まりました。

世間の反応は冷ややかだった

今でこそ蒼国来は尊敬される力士の一人ですが、当時の蒼国来には中国かどっかからやってきた目立たない外国人力士という印象しかありませんでした。

八百長問題が発覚する数年前に力士の大麻使用問題という嘆かわしい不祥事がありました。

その時に大麻の陽性反応が出たことで解雇処分になった外国人力士が処分の取り消しを求めて裁判を起こしたことがありました。それ以来相撲ファンの間には外国人力士に対してわがままよねーとマイナスなイメージがあったことは否めません。

そのため蒼国来が起こした裁判についても「また外国人力士がゴネてるよ」という雰囲気がありました。事の詳細が明らかになった今では「あの頃はなんともすまんかった」と頭を下げたい気持ちになります。

師匠の荒汐さんは偉かった

裁判が行われている間に、処分後も荒汐部屋で生活している蒼国来を部屋から退去させなさいという通告が協会から入ります。

師匠の荒汐さんは「部屋の事は部屋に任せるのが筋」とこれを拒否して蒼国来を住まわせ続けました。

当時の事を荒汐さんは「だって弟子がやってないって言うんだから信じるしかないでしょう」と述懐していました。荒汐さんは師匠の鑑です(涙)

裁判中の蒼国来は最初の1年は仮処分決定どおりに給料が出ましたが2年目からは無給となり、かなりつらい思いをしたようです。部屋に迷惑がかかるからと友人宅を点々としたりして気持ちが折れそうになったとのことでした。

復帰の姿に思わず…

裁判を起こしてから約2年後、解雇処分は不当 幕内力士としての地位保全を認めるという待ちに待った判決が下りました。

実はこの判決が下りる前に、裁判長から「そろそろ稽古を始めていいですよ」と言われていたとそうです。北の湖理事長(当時)からも正式に謝罪があったということです。

2013年7月場所で蒼国来は実に14場所ぶりに土俵に戻ってくるのですが、私はその復帰場所の初日をよく覚えています。

万雷の拍手で迎えられ土俵に上がった蒼国来は、少しずつでも稽古を続けてきたとは言え張りのないたるんだ体になってしまっていました。なんて悲しい体つきになってしまったんだと涙が出ました。

3月場所後に引退して荒汐襲名?

裁判中に精一杯弟子を守ってくれた荒汐親方は、2020年春場所後に定年を迎えます。

荒汐部屋には部屋付きの親方がいないので、師匠の定年後、荒汐部屋は一門のどこかの部屋に吸収合併されてしまうのだろうかと心配されていました。箱推しのファンにとっては部屋が吸収合併されてしまうのは非常に複雑なのであります。

そんな中で蒼国来が日本国籍を取得したニュースが報じられました。日本名は元からの本名のままのエンクー・トプシンだそうです。帰化については2年くらい前から考えていたとのこと。

蒼国来が荒汐部屋を継承するという正式な発表はありませんが、タイミング的にも人柄的にもほぼ固いのではないかと見られています。

若いころに比べれば35歳になった今は衰えが見えはするものの、まだまだ若い子には出せない土俵際のイヤラシサがあります。

あの相撲をもっともっと見ていたい気持ちもあるし、さりとて荒汐部屋を継ぐ人として蒼国来以上に人がいるとも思えないし…ファンとしては悲喜こもごもって感じです。

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