平成最後の初場所で三役の常連玉鷲(片男波部屋)が西の関脇に戻って土俵に上ります。
不機嫌そうな顔が想像できないほど笑顔を絶やさず、趣味が洋裁とお菓子作り、愛に溢れてるからハートが大好きといった発言から女子力横綱と呼ばれて久しいですね。
しかし土俵の上では対戦相手に怪我人が続出。「玉鷲の相撲はキライ」という声もちらほら耳にします。
見るからに口説き上手そうな面差しとは裏腹な土俵上の鬼の形相。たしかに玉鷲の相撲は激しいですが、破壊王と呼ばないであげて欲しいのであります。
玉鷲は口説き上手?
本名: バトジャルガリーン・ムンホルギル(覚えられん!)2017年初場所で初土俵から77場所もかけて新関脇に昇進した苦労人。新入幕からしばらくの間は臥牙丸にだけはめっぽう強いけど幕内中~下位を上ったり下がったりしている地味な力士でしたが、突如覚醒して現在に至っています。
「巡業でファンサがいい力士は?」という問いに必ず名前が挙がるほど玉鷲のファンサービスは定評があります。
こちらがマナーを守っていることは当たり前の前提ですが、写真撮影には快く応じてくれます。相手が若い女性ならばさりげなく腰に手を回したり、着ている服の柄がたまたまお揃いになってたりすると膝の上に座らせて写真におさまることも。
年季のいった女子に対してもそうなのかどうかは微妙ですが(笑)
ファンに対してとってもフレンドリーな態度(お触り魔人とも言う)の玉鷲はけっこうカジュアルに若い女性ファンをナンパしてたりするようです(笑)
ある方のブログに玉鷲に写真をお願いしたら「いい香水つけてるね」と言われてどきっとしちゃった♪そのあとナンパされたw という記載がありました。
初対面で「いい香水つけてるね」はずるい(笑)これは手練だな。
しっかり既婚者ですが軽くナンパしちゃうあたり、女性を見たら口説くのが礼儀というイタリア人みたいなところがありそうです。
ホントかどうか真偽は不明ですが、ずいぶん前に某巨大掲示板で「結婚してるのを内緒にしてた玉鷲にだまされた!」という書き込みを見かけたこともあります。

玉鷲の唇はとってもキスが上手そうです。この表情で顔を寄せられたら私なら一瞬で落ちます(笑)さらにあの分厚くてでっかい手で1センチ四方の紙で鶴を折れます。なんという器用な手先!←いろいろ想像しないように努力中
この人、相撲取ってなかったらジゴロでも成功しそうだわ。
休場させたかったわけじゃないんだ…
破壊王、もともとは元大関の魁皇(現 浅香山親方)が対戦相手を何人も壊したことで「かいおう」の四股名にかけてつけられたあだ名です。
2018年名古屋場所で、玉鷲にもこのあだ名がつきそうになりました。6日目に栃ノ心、10日目に琴奨菊、12日目に千代の国をそれぞれ小手投げで下したのですが、全員を翌日から休場に追い込んでしまったからです。

一場所で3人も休場させたとあって、「玉鷲の相撲は怖くて見てられない」と言う人もいました。…確かにひと場所3人休ませた力士はそう多くはないかも。
小手投げは食う方が悪い?
小手投げは相手の差し手の肘や肩を差された側の腕一本で極めて投げる技です。
投げを打っているところを見ていると、廻しも取らずによく100何十キロもある巨体を裏返しにできるもんだと思いますが、あれは投げられる側が自分から吹っ飛ばないと確実に怪我をするからです。
正直かなり危ない技ですが、力士衆や親方衆に言わせると「引き技や小手投げは食う方が悪い」。
小手投げは本来狙って出すような技ではありません。玉鷲のような押し相撲は廻し取られずに押し出すのがあるべき姿なので、差し手を取られてる時点で自分の相撲が取れてないということになります。
つまり、小手投げは基本的には豪栄道の首投げのように苦し紛れに出す技なのです。玉鷲はこの場所を8勝7敗で終えましたが、苦し紛れが3回も出てる時点で絶好調!とはいえなかったと思います。
本調子じゃない相手の苦し紛れを食って負けてるのですから「食う方が悪い」と。
玉鷲は、土俵の上の怪我は仕方がないとはいえさすがに3人も休場させてしまって「こんな相撲を取りたいわけじゃないんだけど…」と困った表情を見せてました。
これにはケガをさせたいわけじゃないという意味と、小手に頼らなくちゃいけないような相撲を取ってる自分がふがいないという両方の意味があります。
玉鷲は名古屋場所以降小手投げを出さなくなりました。9月場所は自分の取口に迷いが出たのかイマイチ元気がなく盛大に負け越しました。ケガさせてしまったことを悔いて涙したそうです。しかし、九州場所は9勝6敗で終えています。
玉鷲はマイペースで誠実ないい力士
どうやら女の子が大好きそうな玉鷲ですが、チャラついたところは見受けられません。むしろ恩義に感ずるところの大きい誠実さを持っています。
所属の片男波部屋は九州場所中は会場のある北九州市から100キロほど離れた朝倉市に宿舎を構えています。伝統的建造物保存地区があるような、のどかな田舎です。
2017年7月に朝倉市は豪雨災害に見舞われ、死者も出るほどの大きな被害を受けました。「朝倉市は第二のふるさと」と言う玉鷲は、この年の九州場所前に朝倉に足を運んで被害の様子を見て回っていました。
「世話になってた人も被害に遭っていた」とショックを隠せない様子でしたが、「必ず10番勝ちます」と支援者に約束。その通りに11勝4敗で場所を終えてみせました。
モンゴル人力士同士のやや過ぎた仲良しこよしからは少しだけ距離を置き、入門以来1日も休場せず、巡業でも朝早くから熱心に稽古をしている玉鷲。今年35歳という年齢をまったく感じさせません。
「大関になるより一度優勝したいよね」と笑う玉鷲はマイペースで土俵に上っています。
【追記】
波乱万丈だった初場所で玉鷲見事優勝です!おめでとー!横綱を倒して13勝2敗の成績は天晴れです。千秋楽当日の早朝に第二子の男の子が生まれるというドラマか!なおまけつきでした。
再関脇で優勝の初場所を基点に33勝挙げることが出来れば、片男波部屋からは53年ぶりの大関が誕生します。
力士は大関以上になるとインタビュールームに来ることがほとんどなくなります。最近の玉鷲はインタビュールームであまり満開笑顔を見せなくなりましたが(たぶん、負けた相手に失礼だと師匠に言われたんでしょう)、インタビュー終りについ出てしまう玉鷲スマイルをもっとずっと見たいという気持ちと、手の届くところまできた大関に昇進して欲しい気持のせめぎ合いですわ。
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